ピロリ菌の検査と治療
ピロリ菌は割と最近発見された菌で、それは1980年代のことです。日本人は非常に多く感染していて、特に50歳以上の方の70〜80%が感染しているといわれています。その理由として戦前戦後の衛生状態の悪い時代に乳幼児期を過ごしたかたが、ピロリ菌に汚染された水を飲んだ事が感染の理由として考えられています。
というのも、ピロリ菌は大人になってから感染するというより、抵抗力のない乳幼児のうちに感染してそのまま住み付いてしまうのです。免疫力のある大人になってからは、ピロリ菌が入ってきたとしても、免疫の働きで排除されます。しかし乳幼児の次期に感染すると、危険なのです。普通胃の中のように強い酸性の環境で最近は生き残れないのですが、ピロリ菌は自らが生成するアンモニアによて、胃酸から自分を守って住み着いてしまいます。
現在では、上下水道の整っている国でのピロリ菌の感染度は低く、逆に水道の完備していない地域ではピロリ菌に感染する確率が高いというデーターがあります。つまり、ピロリ菌は経口感染という進入経路をたどる事がある程度わかってきています。飲み水や食べ物から入ることが多いのですが、キスでもうつるのか?よく取りざたされる問題です。 しかし、キスが習慣化されている欧米よりも、日本でピロリ菌の感染率が高いことから、キス程度では感染しないと証明されています。しかし、感染しているおじいちゃんやおばあちゃんが、孫のために口の中で食べ物を噛み砕いてあげたり、口移してあげたりする行為は非常に危険ですのでご注意下さい。
つまり現代の日本社会において、乳幼児が感染する確率は低いのですが、上記で挙げたような行動に注意するとともに、こんな説もあります。それは、「ピロリ菌を運んでいるのはゴキブリの可能性もある」と言う事です。まだ、実証されていませんが、台所や水周りを清潔に保つ事と、積極的なゴキブリの駆除には気をつけていただきたいと思います。
ピロリ菌に感染しているかどうか、心配になる人にはある程度の症状があります。しかし実際に検査をするには、十二指腸潰瘍や胃潰瘍を繰り返すなど保険診療が効くかどうかは病院の判断によると事が大きいようです。人間ドックや検診などで希望すれば自費での検査になります。
ピロリ菌の心配になる方の症状を見ていますと、次のような項目に当てはまることが多いです。
このような症状にいくつか当てはまるかたは、一度ピロリ菌検査をしてみるほうがいいでしょう。
実は、ピロリ菌に関するデーターはまだ未解明の部分が多いのが実情です。日本ヘリコバクター学会の公表を参考にしましたが、診察を受ける場合は、専門の消化器内科のある病院を選んだ方がいいでしょう。
ピロリ菌の検査をすることは、胃がんの危険因子を取り除くという意味で非常に有用で、検査と除菌治療が世界保健機構でも推奨されています。
ピロリ菌検査方法がいくつかありますのでご紹介しておきます。
ピロリ菌検査には大きく分けて内視鏡を使わない方法と、内視鏡を使う方法の2種類あります。
内視鏡を使わない検査方法は、何より身体への負担が少ないというメリットがあります。
尿素呼気試験法は、尿素を含んだ検査薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。ピロリ菌に感染していると、ピロリ菌が放出するウレアーゼによって、胃で尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解される事を利用した検査方法で、最も精度の高い診断法です。 最も簡単に行える方法なので、感染診断前と除菌療法後4週以降の除菌判定検査に推奨されています。
血中・尿中抗体測定法は簡単に抗体法といわれる事が多いです。ピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対する抗体をつくります。血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法ですが、ピロリ菌抗体は除菌されても半年近く体内に残留するので、除菌療法後や感染後すぐでは擬陽性が出やすくなります。このことから、長期観察に適しています。
便中抗原測定法は簡単に抗原法とも呼ばれます。便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。この方法は、生きたピロリ菌だけでなく、死んだピロリ菌に対しても抗原として認識する抗体を利用して測定する方法です。
ここからは、内視鏡を使う検査方法です。迅速ウレアーゼ法はピロリ菌が持っているウレアーゼの特性を利用する検査方法です。ウレアーゼは尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する酵素なので、この特性を利用して、採取した粘膜を特殊な反応液に添加して反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。ウレアーゼにより発生したアンモニアはアルカリ性なのアンモニアによる検査試薬のpHの上昇の有無を色調変化で観察することによってピロリ菌の有無を間接的に判別する方法です。
培養法も内視鏡を使う検査方法です。胃の粘膜を内視鏡で採取してそれをすりつぶして培養します。この検査には5〜7日かかるので、時間がかかるのが欠点ですが、他の検査にも利用できるという長所もあります。
組織鏡検法もも内視鏡を使います。胃の粘膜の組織切片に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。この検査は他の菌の発見にもつながることがあります。
まず、ピロリ菌の検査に保険が効くかどうかですが、上記にあげた検査のうちで保険の適用が可能な検査は
迅速ウレアーゼ法、培養法、組織鏡検法、血中・尿中抗体測定法、尿素呼気試験法です。
ただし、ピロリ菌検査は胃潰瘍、十二指腸潰瘍があるとわかっている人以外には保険の適応がありません。
内視鏡検査(胃カメラ)が必要と医師が認めた場合にのみ、検査費用も保険適用になるということです。
単に、胃が調子悪い、慢性胸焼けで困るといった場合でも、大きな病気が隠れているかも知れないのでお医者様に相談しましょう。
自費の場合のピロリ菌検査の費用は、およそ次のようになりますので参考になさってください。
ピロリ菌の治療方法には、抗生物質のお薬を使います。この抗生物質をむやみやたらと使うと耐性菌といって、抗生物質の効かない菌が出来てしまう可能性があります。すでに一部で抗生物質に耐性のあるピロリ菌も確認されています。
そこで、次のような方に、除菌療法は適応とされます
ピロリ菌の治療期間は、1週間法と2週間法のどちらかを行う医療機関がほとんどです。 その間、飲み忘れとかないようにしないと、またピロリ菌が暴れだします。
飯島愛さんも、ブログで書いていましたが、「ピロリのお薬飲まないとだよーーー。嫌でほっといたらね、ピロリが愛珍の中で踊りまくっているんだって。ピロピロダンス!!! でも、ホントに早めに除菌しないとダメだよ」と継続してお薬を飲まなくてはいけないと書いています。
ヘリコバクターピロリ菌を直接撃退するLG21という乳酸菌が有名です。この乳酸菌配合したヨーグルトを一日2回食べていたところ、ピロリ菌の数が 1/10〜1/100に激減していた実験も報告されています。一部ですが、ピロリ菌が減ったばかりか消失していました。
ソース 2000.01.28 読売新聞
このほかにもピロリ菌を減らす効果のある食品として、ココア・ヨーグルト・ブロッコリーの新芽・マヌカハニー・カテキン・モズク・梅肉エキスなども注目されています。
マヌカハニー
美味しいだけではない、優れた抗菌力はあのピロリ菌もやっつけるほど。ニュージーランドで各種治療に使用されています。