認知症の症状と治療
認知症という言葉は最近使われている言葉という認識の方も多いでしょう。それまで使われていた痴呆という言葉が、差別的、侮辱的な表現とされて、2004年厚生労働省から通達があり、認知症という表現を変更するようになってから使われている言葉です。しかし、医学上では、認知症ではなく、痴呆を使っています。
認知症と物忘れは症状は似ていますが、違う病気です。物忘れは、若い時でもたまにあることです。年齢を重ねると、脳そのものも老化していくので、物忘れをすることも徐々に増加していきます。物忘れは、老化現象の一つであって、認知症の症状とはなりません。その決定的な違いは、日常生活に支障をきたすほどか、問題なく生活できるかの点にあります。
認知症とは、記憶や判断力などの知能が後天的に低下して、普通の社会生活を送ることができなくなった状態を言います。
認知症の症状の早期発見には老化による物忘れなのか認知症による物忘れなのかを見極めることが大切です。
家族の方が、おかしいなと思ったときには、早めに専門の医療機関に相談したり、受診をして下さい。
早期発見をすることで、病気の進行を遅らせる事は可能ですので、(進行を止めることは現在できません)
一日もはやく、治療をすることが大切です。
アルツハイマー型認知症は、
脳の神経細胞が通常の老化よりも急速に、減ってしまうことによって、正常な働きを徐々に失っていき、認知症(痴呆)になっていく病気です。
その原因はまだわかっていませんが、遺伝的な要因に加えて生活環境の影響が重なり、発病すると考えられています。
アルツハイマー型認知症の発症年齢は40歳くらい〜90歳と広範囲ですが、65歳以上で特に多くなります。
男女比は1対2で女性に多い傾向があります。
認知症の患者さんは65歳以上の5%程度といわれています。
このうち40%がアルツハイマー型認知症です。
どのような病気にもいえることですが、治療を始める時期は早いにこしたことはありません。
脳血管性認知症は、
脳梗塞や脳出血などが原因で、脳の神経細胞に酸素が届かなくなり、脳の一部が破壊されることにより認知症の症状がおこります。
脳血管性認知症は、障害された場所によって、ある能力は低下しているが別の能力は比較的大丈夫という様にまだら状に低下し、記憶障害がひどくても人格や判断力は保たれていることが多いのが特徴です。
動脈硬化の危険因子である高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、心房細動などが原因 となります。
治療の薬を飲み忘れる事もよくありますので、ご家族が確認するなどの努力が必要な場合もあります。
認知症の早期発見のためには、専門医に診てもらうことが大切です。
いきなり、「物忘れ外来」や「認知症外来」「メンタルクリニック」に行こうと言っても、本人の自覚のない場合、嫌がることも多いので、まず、かかりつけのお医者様にご相談して、紹介状を書いてもらうのも一つの手段です。
物忘れが多いので簡単なテストをしてみましょう。と本人の納得する言い方をしてくださるでしょう。
認知症の診察は、問診が基本となり簡単なテストを行ったり話の中から診断をします。 原因となる病気があると思われる場合は 一般内科的診察や血液・尿検査、脳内の変化をみるためにCT検査やMRI検査を行う事があります。
認知症の患者さんは、よそ行きの顔を見せることが多いようですので、必ず付き添いのご家族が、日頃の症状をしっかりと先生に伝えることが大切です。